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(1).欧州におけるコンプライアンス

基準に関しては欧州のCSRD指令に基づいたESRSEuropean Sustainability Reporting Standards:欧州サステナビリティ報告基準)が全世界的に見て先行しているが、CRSDはそれまで欧州でサステナビリティ情報開示を規制していたNFRDNon-Financial Reporting Directive:非財務情報開示指令)よりも適用範囲が広く、日本企業のEU現地法人にも適用される。したがって欧州に子会社を有する日本の親会社もコンプライアンス上サステナビリティ情報開示が急務とされています。

(2).連結グループとしての情報の統一性と有用性

連結グループ全体で見た場合、各国別にサステナビリティ情報開示の制度および規制にはバラつきがあり、親会社を主体としたサステナビリティ情報開示には様々な課題があります。また、開示する情報が属人的になりがちで比較可能性がない等投資家にとって有用な情報となることが難しくなるという課題があります。

(3).情報収集のための業務フローの整備

財務情報と合わせて、非財務情報であるサステナビリティ情報も親会社が主体となって連結ベースで開示されます。財務情報は会計基準や会計システムが整備され、必要な情報が明確であり、情報収集のための業務フローが定着しています。また、各国や地域における差異を調整するための仕組みも存在します。

しかし、非財務情報に関しては、各国で開示すべき情報を議論している段階であり、日本企業も有価証券報告書上で一部の連結子会社からのサステナビリティ情報の収集を課題として開示している企業が複数あります。これを解決するためには、まず開示する情報の有用性に関する認識を統一した上で、外部に公表するサステナビリティ情報収集システムを社内に整備することが必要です。また、財務情報と合わせて企業価値を高めるために、社内で業績評価、各種分析、全社的な対応を審議していくことが望まれます。

サステナビリティ情報開示制度を単にコンプライアンス上の問題として捉えるのではなく、企業評価の指標としての有用性、および社内での業績評価基準として活用することによる、企業価値向上への活用が重要となってきます。

連結ベースでのサステナビリティ開示の問題点

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