2023年8月に経済産業省はM&Aにおける行動規範として上場会社の経営支配権を取得する買収一般において尊重されるべき原則を定めた”企業買収における行動指針”を公表しました。
これは我が国においても同意なき買収が増えてきたためです。行動規範は企業価値、株主利益保護、透明性を原則とし、会社法や金融商品取引法、東証が定めたコーポレートガバナンスコードの趣旨をすべて反映させた感じですね
ここで企業価値は将来キャッシュフローとされますが、企業価値の算定方法としての配当割引モデルによれば
企業価値=将来キャッシュフロー ÷ 資本コスト(株主の要求利益率) とされます。
分子の将来キャッシュフローが多ければ企業価値が大きくなるというのは想像がつくと思いますが、逆に資本コストは分母に来るので低い方が企業価値は大きくなります。
資本コストは企業の事業の収益のブレ度合い、事業リスクのことです。リスクが低い階差者は利率が低くても社債を発行できますが、リスクの高い格付けの低い企業は高い金利を設定しないと資金調達できません。
行動指針はM&Aを通じて企業価値が増大し、株主の利益に還元させるよう情報の透明性を要求しています。企業買収は企業という商品の売買ですから、商品を買うときにその商品の成分は何か、どこで誰が生産したかの情報を明確に表示するきまりと同じですね
ただ、株式会社の場合、会社の業務意思決定をするのは取締役会ですが、M&Aに関して有用な情報を有しているのは経営企画部等であり、経営企画部が有する情報がちきんと取締役会に伝わることが、企業価値向上のチャンスを逃さないために重要となります。
これはまさに内部統制が有効と判断される要素の、”情報と伝達”ですね
#M&A
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