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居住者?非居住者?非永住者     

― 日本の税金、あなたはどのタイプ? ―

はじめに|国際税務で最も多い「最初の落とし穴」

「日本に住んでいるけれど、海外の収入にも日本の税金がかかるの?」「海外から移住してきたばかり。いつから“全世界所得”を申告しなきゃいけない?」

これは、国際税務の現場で最も多く受ける質問です。

実は、日本の税金は**「国籍」ではなく、「居住者区分」**によって課税範囲が決まります。

そしてこの居住者区分を誤解したまま日本で生活を始めてしまうと、

  • 本来払わなくてよい税金を払いすぎる

  • 逆に、申告漏れとして指摘を受ける

といったリスクが生じます。

本記事では、所得税法の条文を根拠に「居住者・非居住者・非永住者」の違いを、専門家の視点で分かりやすく解説します。


1. 日本の税法は人を3つのグループに分ける

日本の所得税法では、個人を次の3つに分類します。

  1. 非居住者 → 日本を生活の拠点としていない人

  2. 居住者 → 非永住者 → 日本に住んでいるが、期間が短い外国籍の人

  3. 居住者 → 永住者 → 日本に長く住んでいる人(国籍不問)

⚠️ 重要な注意点税法上の「永住者」は、入管法上の「永住権(ビザ)」とは一切関係ありません。

就労ビザ・学生ビザであっても、一定期間日本に住めば 税法上は「永住者」 になります。


2. STEP1|あなたは「居住者」か「非居住者」か

まず最初に行うのが、この判定です。

【根拠条文】

所得税法 第2条第1項第3号・第5号

居住者とは

国内に「住所」を有し、または現在まで引き続いて 1年以上「居所」 を有する個人

非居住者とは

居住者以外の個人

💡「住所」と「居所」の違い(実務上とても重要)

用語

意味

住所

生活の本拠(家族、生活拠点、社会的つながり)

居所

一時的・継続的な滞在場所

🔍 判定は形式ではなく「実態」住民票や滞在日数だけで決まるわけではありません。

課税範囲の違い(STEP1)

【根拠条文】

所得税法 第7条第1項第3号

非居住者の場合

  • 課税対象:日本国内源泉所得のみ

  • 海外で稼いだ所得:日本では非課税

👉 ここで判定が終わります。非居住者は、非永住者・永住者に進みません。


3. STEP2|居住者の中で「非永住者」か「永住者」か

居住者と判定された人のみ、次のステップに進みます。

【根拠条文】

所得税法 第2条第1項第4号

非永住者の要件(両方必要)

  1. 日本国籍を有していない

  2. 過去10年以内の日本居住期間が 5年以下

➡ どちらか一つでも満たさなければ「永住者」です。

💡 実務上の重要ポイント:日本国籍者の扱い

条文上、日本国籍者は 即「永住者」 です。

ただし、長期間海外に居住していた日本人が帰国した場合、実務上「非永住者に準じた扱い」 が検討されるケースもあります。

⚠️ この判断は非常に高度で、税務署との事前相談や専門家の関与が不可欠です。


4. 一番大事な違い|課税される所得の範囲

【根拠条文】

所得税法 第7条

区分

課税される所得

非居住者

日本国内源泉所得のみ

非永住者

国内所得 + 日本に送金した海外所得

永住者

全世界所得(送金の有無は無関係)

💰 非永住者の「送金課税(Remittance Basis)」

非永住者の最大の特徴は、海外で稼いだ所得でも、日本に送金しなければ課税されない点です。

  • 米国給与:1,000万円

  • 日本への送金:500万円

➡ 日本での課税対象:500万円のみ

🎯 永住者になると何が変わる?

  • 送金したかどうかは関係なし

  • 全世界所得が日本で課税対象


5. 二重課税を防ぐ仕組み|外国税額控除

【根拠条文】

所得税法 第95条

海外で納付した所得税に相当する税額は、一定の限度内で 日本の所得税から控除できます。

👉 正しく適用すれば、日米二重課税を回避できます。

まとめ|あなたはどのタイプ?

START

日本に住所 or 1年以上居所あり?

├─ NO → 非居住者(国内源泉のみ)

└─ YES → 居住者

      ↓

外国籍 かつ 過去10年≦5年?

├─ YES → 非永住者(送金分課税)

└─ NO → 永住者(全世界所得)


専門家への相談が必要なケース

  • 海外資産を持ったまま日本に移住

  • 非永住者 → 永住者に切り替わる年

  • 高額な海外送金を予定

  • 米国Form W-2 / 1040 を日本申告に反映する必要がある

おわりに

居住者区分の判断は、「最初の一歩」でありながら、最も重要な国際税務判断です。

誤ると、数年後に大きな税務リスクとして表面化します。

「自分はどのタイプだろう?」そう思った時点で、ぜひ専門家にご相談ください。



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